鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第3章 :嬉しい再会と、勘違いの行方
7人は兵舎に戻り、それぞれ部屋に戻って行く。
ハンジだけ一度エルヴィンの部屋に寄り、お菓子を入れた袋を抱えて食堂に入ると…いつもの席でリンの姿を探した。
「ん?」
席を見ると人だかりが出来ている。
中心にいるのは彼女だ。
(何してるんだろう?)
様子を見ながら近づくと、何人かの兵士に話しかけられている。
「リンさん!いつも美味しいスープを、ありがとうございます!これを食べるのが毎日楽しみで、食事が楽しくなりました。」
『そっか、良かった。今度はスープ以外も作るね!』
「ハイ!楽しみにしてます!!それで、もし良ければこの後…」
楽しそうに囲み喋る兵士達は全員下心ある男だったが、リンは全くそれに気付いていない。
(なるほど…私達が側にいないと、あぁなるのか。…やっぱり目が離せないね。私が守らなきゃ!)
「君達、その席いいかな?」
「あっ、ハンジ分隊長!失礼しました、どうぞ!」
ハンジが声をかけると、兵士達は蜘蛛の子を散らすように自分の席へ戻って行く。
「みんな悪いね〜。リン、ここ座ってもいい?」
『…いいけど。』
ハンジはリンの了承を得て前の席に座るが、朝の気まずさで中々話しかけられない。
「あ…あのさ、さっきはその…ごめ」
【ごめん】と言いかけたが【謝るな】というリヴァイの言葉が蘇り、口を噤む。
(これ以上謝っちゃダメだ!)
「ッ…リン!良かったらこの後、一緒にお菓子食べない?エルヴィンから沢山貰ったんだよ!お茶は私が入れるからさ。」
リンはハンジをジッと見つめる。
そしてフフッと小さな声で笑った。
『食べる。でもお茶は私が入れる!ハンジのお茶は不味いからね〜。』
「あ〜酷いよ、リン!」
わだかまりなく戻れた事が嬉しくて、ハンジは頬を緩ませた。
『私達の一族が愛飲してるお茶があるの。紅茶の甘みとは違って、芳ばしくて美味しいよ!』
「ほぉ…それは興味があるな。」
後ろから突然声がして、2人は振り向く。
「リヴァイ?!いつの間に…」
『…飲みたいの?』
「リヴァイは無類のお茶好きだよ!だからリヴァイにもそのお茶、飲ませてあげてよ。」
『分かった。』
3人は一緒に食堂を出て、そのままリンの部屋へと向かった。