第6章 花開く
私は目を覚ました。…夢を見ていた気がする。思い出せない。
霞。
また霞だ。
制服に着替えて祖父母に挨拶。朝ご飯を食べ出掛けた。
今は体育祭シーズンで、皆楽しみにしている。
ここまで学園で過ごしていると、何となくわかってくることがある。
まずは携帯事情。クラスの私以外全員がガラケーなりスマホなりで携帯を所持していた。親に制限されたり、学園が中等部は持ち込み不可だったりするけれど…。
不便はある。部活を休みたいときに連絡のしようがないし、実弥に伝えてもらうしかない。将棋部と美術部に関しては直接学校に電話して部員に伝えてもらっている。
欲しい…とは思う。
でもねだるほどのものだろうか。高いし。実弥はピカピカのスマホを持っていたけれど…。
そうそう、あと宇随先輩。あの人、どうやら輩先輩と呼ばれているらしい。見た目どおり筋金入りのヤンキーで、喧嘩もべらぼうに強いとか。
でもヤンキーじゃない人には普通に優しいし学校では喧嘩もしない。高等部に上がれば番長になるのではと噂されている。
そして、めっちゃモテる。バレンタインではお菓子持ち込み禁止の中等部に高等部の先輩がチョコを持って集まり、もちろん中等部の女子も集結した。チョコレート獲得総数ぶっちぎりの一位らしい。さすが。
お次は胡蝶さん。あの人もモテる。顔がまずいい。あの人は美人だし可愛さも愛嬌もあるし百点満点だ。そろそろ告白しだす人が現れるのではと皆言っている。
何だか…学園三大美女とやらの一人に数えられているらしく、さすがだなあと思う。あとの二人のうち一人は高等部の先輩で、あと一人はこの一年生にいるらしい。誰だ。拝みたい。
そして冨岡くん。べらぼうにモテている。あの一人でいるクールさがたまらないんだって。私には鮭大根にとり憑かれた天然さんにしか見えない。ごめん。
あと伊黒くんはいつもマスクを頑なにつけている。外せ。綺麗な顔してるんだから。
実弥は男子に人気。女子が寄り付かない。傷のことで最初はこそこそ言われてたんだけど、本人が全く気にしていないので誰も言わなくなった。彼女は一生できないだろうと噂されている。大爆笑。