第59章 消失ー最終章ー
冬休みももう終わっちゃうなあと、寒空の下を歩いた。
最近ようやくおばあちゃんやおじいちゃんと普通に話せるようになった。けれど、以前と同じようにはいかないと思う。
両親を突っぱねた私に、“家族”を知らないままでいる私に、どう接して良いのかわからないのだろう。そんなの私もわからない。
けれど、どういうことか私はとっても清々しい気分で、これまでにないほど人生を楽しんでいる。
この学校へ行く道もずいぶん慣れた。
冬が終わって、春が来て、すぐ三年生になるんだろうな。そうして、また卒業して。高校は…外部か内部かわかんないけど、とりあえず進学して。皆で楽しく過ごして。
きっと、私は。
こんな日々を送るためにこうしてまたこの世に生まれたのかも。
今なら、思うの。
私は、大したものを欲しがったわけではない。
道があれば良かった。誰かと、一緒に歩いていける、そんな道があれば良かった。
風が吹いて、風車が音を立てるような、そんな道。その道を、歩いて、歩いて、胸を張って。
私が歩いた道は、最初は色んな人がいたけれど、だんだんいなくなって。
一度終わってしまった道は、また始まった。いなくなった人たちもいるけど。
私は、大したものを欲しがっているわけではない。
道があれば良い。
「おせぇ」
「ごめんごめん」
悪態をつく幼なじみは、校門の前で仏頂面だった。
「でも、冬休みの宿題終わらないからって泣きついたの君でしょ。」
「…教えてもらうだけだァ。クソ、ゲームやりすぎた…。」
「バカだねぇ。」
部屋だと集中できないからと、こうしてここにきたわけだ。