第5章 夢見る
私は次の日学校を休んだ。
おじいちゃんは仕事に言ったので祖母の付き添いのもと病院に連れていかれた。
昨日帰ってからの二人の心配ぶりと言ったら!!
そうなると断ることもできず。
「特に異常はないですねぇ。」
医者にそう言われた。だろうな、と心で思った。
「中学に上がったばかりなんだよね?よくあることなんです。環境がガラリと変わるでしょう?」
医者が出鱈目な話をする。あぁ、何もわかってない。
でも前世の記憶があるなんていったらそれこそ入院ものだろうな。
病院からの帰り道。
おばあちゃんがケーキを買ってくれた。
「、学校もゆっくりでいいからね」
家で紅茶を淹れながら言ってくれた。
「…色々あったものね。ごめんなさい。本当に……。」
そう言われると何も言えない。
というかあの両親が消え去ったことで私のストレスはゼロになったのだが。
「私、本当に大丈夫。はやく学校に行きたいし部活も参加したい。」
そうとしか言えなかった。
私は夕方になると元私の部屋、現物置き部屋に登って窓を開けた。
向こうも同じことをしていた。
「やっほー、実弥。何?」
「てめぇも何の用だよ」
実弥に聞かれて、私は考えた。
「ないかな。実弥は?」
「俺もねぇ。何となくだ。」
「だよね~。」
実弥が一瞬姿を消す。ひょっこり現れた時は可愛い子と一緒に姿を現した。
「あと玄弥が会いたいってさ」
彼の幼い弟だ。抱き上げている。
「玄弥くん、こんにちは。今は何歳ですか?」
「………4しゃい…」
可愛い。はい可愛い。
「窓開けようとしたらついてきてさ。」
「……ねぇちゃん」
玄弥くんが私を指差して言う。
「姉ちゃん?私が?」
「ねぇちゃん」
実弥がふは、と吹き出した。
「間抜けな顔してんなぁ。」
「だ、だって、玄弥くんが」
「ねぇちゃん、ねぇちゃん。」
玄弥くんが無邪気に言う。私に手を伸ばすので私も伸ばした。私の人差し指を手でつかんだ。
小さな手に私の人差し指は大きいみたいだ。
握り返してくれる。
暖かい手だった。