第54章 言葉が邪魔をするから
カナエが沈黙した。
私はただ返事を待っている。
な、何で黙ってるんだろ…。電話切れた??あっ、繋がったまんまだ…。
『』
「はい…?」
『行くのよね、神社』
カナエの声は…いつもみたく、茶化したものではなかった。真剣そのもの。
「…うん。行こうと思う。」
はっきりとそう言うと、カナエが話した。
『私、本当は…少し不安だったの。』
「不安…?」
『はもう“霧雨さん”じゃないのに、それを気にしているみたいだったから。』
私はカナエの言葉に沈黙した。
『が不死川くんが好きってわかったとき、本当に嬉しかったの。……何だかあなた達がとなりに並んで歩いていると私はたまらなくそう思うのよ。』
「カナエ…。」
『頑張るのよ、。寝坊しないようにね。』
うん、と返事をした。
カナエの言葉に背中を押され、私は明日実弥に何を言うかを考えた。
けれど、そういうのは私に向いていないのかもしれない。後先考えずに突っ走って、自爆するのが私らしい。
そう思うと、力が抜けて、私はいつも通りに過ごした。
そしてカナエの言う通り、寝坊しないようにはやめに眠った。