第53章 落下
結局葬式には参加しない…というか、できなくなった。
私はそのことを氷雨くんに出んわで伝えた。
『そうですか、会えないのですね…。』
「はい。」
『あの、その、これは…えぇ、杞憂だといいのです。それが一番…。今から言うことは独り言だと思っていただいてかまいませんから。』
氷雨くんが珍しく取り乱していた。
『……水には近づかないでください…』
その彼の声音からは本気だということが伝わってきた。
「はぁ、わかりました。お風呂も湯ははらないようにします。」
『…はい。それでは、色々とありますので…また。』
そこで電話は切れた。
(水、ね)
…どうやら氷雨くんには私のことなんぞお見通しらしい。