第52章 言葉なんていらない
帰りの車内は気まずかった。
実の親に喧嘩を売るようなこととなってしまったし、何なら絶縁宣言までしてしまった。
おじいちゃんとおばあちゃんからは…。
よくわからない感情を感じとることができた。
実弥と…似た感情。
帰宅するとすっかり夜だった。
私は無言で晩ごはんを食べた。二人も話さなかった。
……。
「……私」
食べ終わって箸を置いた。
「私、いない方がいい?」
あぁ。何を聞いているんだろう。
「そうしたら皆仲良くできるのかなぁ。」
私は大馬鹿者だ。
だって、二人がこの言葉を否定してくれることを知っているから。そうして私は二人を苦しめる。
「そんなことないのよ。一緒にいたいわ。」
「そうだ。気に病むな。今日は無理に連れていって悪かった。」
…何でこんなこと言っちゃったんだろう。
私は心配をしてくれる二人に申し訳なく思いながら、黙って頷いた。
もうすぐ年が明けると言うのに、我が家は嫌な空気に包まれていた。