第46章 好意
私達は笑いあった。お互いにお互いの誤解はとけたようだ。
実弥はぎゅっと握っていた手をほどいて、じっと私の手を見つめてきた。
「小せえ手だなァ」
「失礼な。普通だよ。」
「小せえ、細えし」
観察するしむにむにと触ってくるのでくすぐったい。
「……ちっせぇ…」
実弥の片手にすっぽりおさまる私の手。
「………“女の子”、だなァ」
何気なくそう言われた。
「…あの、そろそろ離してもらっても」
少し恥ずかしくなってきてそう言うも、実弥はまだ離さなかった。そしてニヤリと笑った。
「何だァ?握ってきたのはお前だろうが。」
「君が落ち込んでたからでしょ。しゅんてしちゃって。」
実弥は再び手を握ってきた。
「ちょ、何なの、手フェチ?」
「……かもなぁ」
「気持ち悪っ」
「黙れよ顔面フェチ」
…はっ、バレていたのか。確かに美男美女好きだけど!!かわいい男の子も女の子も大好きだけど!!
「お前限定だな。」
「は?」
「……お前のこと好きだし。」
「あぁそうですか。」
実弥からほんの少し照れたような、そんな気配がした。何を照れてるんだ、この手フェチやろう。
そのあと、部屋の外からおばあちゃんが呼ぶ声がして一緒に晩ごはんを食べた。
実弥が家に帰って、風呂に入って歯を磨いてベッドに入る。
(ん?)
実弥の言葉が頭で再生される。
『お前のこと好きだし』
(ん??)
そのあとの実弥の照れたような気配。
(んん???)
なぜか、その日私は眠れなかった。