第41章 某時代
「春風が良いって言ってんだね」
先輩がやっと発した言葉はそれだった。
「はい」
「じゃあ俺も良いよ」
そうは言いつつも、険しい顔をしていた。
「俺は鬼に殺されて死んだ。…生き残った君と春風とは違う。だから、ここで駄々をこねるようなことはしない。」
「…わかりました。氷雨くんに伝えておきます。」
「うん。…春風、元気だった?」
「はい…元気でしたよ?」
「そう」
先輩は微笑んだ。
本当に嬉しそうだった。
私はそこで先輩と別れた。
その日の夜、氷雨くんから連絡が来た。
『見つかりました。記憶もあるようです。また連絡します。』
着々と準備が進められていく。話してしまおうと言ったのは私なのに、不安になってしまってしばらく眠れなかったりした。