第35章 謎解き
私はビニールに包んだ氷とタオル、そして麦茶を持って部屋に戻った。
二人は手を冷やしながら麦茶を飲む。
「なんか、ちょっと歪んだだけで…。全然中身が出そうにないね。」
「うーむ、ここまでして一体何を入れているんだろうか。」
「呼吸が絡んでることは間違いなさそうだがなァ。」
実弥は麦茶を飲み干し、口もとを腕でぬぐった。
「でも、殴るのは違うんだろうなァ…。」
その言葉に、私はまた引っかかりを覚えた。
何だろう。どこか遠い昔に……。
「じゃあ斬るのはどうだ?」
「中のもんまで斬れるだろ。」
煉獄くんと実弥が話す。
…この会話、どこかで…。
『お久しぶりですね』
伝言。
そうだ、あの伝言。
待って…。
何か思い出せそう。
「霧雨さんなら中のものの気配がわかるから、うまく斬れるんじゃないのか?」
「………いや…。」
斬らなくても、殴らなくても、叩かなくても、燃やさなくても、水に濡らさなくても。
この箱は開く。
…痛い。
頭、痛い。
「…霧雨?」
実弥が眉を潜める。
煉獄くんもどうしたのか、と聞いてくる。
「………」
言葉にならず、私はそのまま部屋のカーペットに倒れこんだ。
二人が私を呼んでいたけれど、答えられなかった。