第31章 怪奇現象
文化祭も終わり、そろそろ体育祭シーズンに突入する。
今年こそはリレーの代表になりませんように…と祈っていたが、無情にもなってしまった。ちくしょう。
でも伊黒くんを道連れにしてやったぜ。わははははは!去年の屈辱果たせたり!!
「今年は参加できなくて残念だわぁ。、頑張ってね!」
リレーメンバーを決めた日の昼休みにカナエから天使のような満面の笑みで言われ、心を入れ替えた。ごめん、伊黒くん。
「ねえ、このクラスにちょっとの間だけ転校生が来るって知ってる?」
「え?知らない…けど。ちょっとの間だけって何?」
「家族の都合で体育祭の終わりまでの間だけこの学園にいるんですって。ふふふ。はビックリすると思うわ。」
何かを含むカナエの物言いに私は首を傾げた。
そして次は打って変わってまゆじりを下げた。
「やだ、あれ何かしら。」
「え?」
カナエは私の後ろを見ていた。振り返ったが、はしゃぐ数人の男子と何やら話し込む女子グループしかいない。
「何?どうしたの?」
「、何か感じない?…あそこ。」
カナエが指をさすそこには何もない。
感じないかと言われたので探ってみると、ゾワワと体が震えた。
何となく実に覚えがある感触だった。
この世の者ではない“何か”からの干渉。
幽霊トンネルでの出来事を思い出す。あんな目に遭うのはもうこりごりだ。まだ鬼の方がいいんじゃないか。斬れるし。
「………無視した方が良いと思う…。」
「見えてる訳じゃないのよね。」
「えっカナエは見えるの?」
彼女は黙って頷く。
「ぼんやりとね。ちょっと駄目な人みたい。あ、人ではないわね…。」
「いやそこは重要じゃないから。」
カナエはなるべくそちらを見ないように目を離した。私も気にしないようにした。