第30章 前進
「……先輩は、私に繋いでくれたの。」
話した。
時間がかかったけれど、全て。
「最初は…何でって思った。何で私だけ助かってしまったのって。……でも教えてくれたことを…。次世代に繋いでいこうとした。そう、あなた達に。」
私は思っていたことを全て伝えた。
「可能性のある後世に、私は託した。……ろくなことできなかったけど。」
そう言うと、ずっと黙っていた冨岡くんが口を開いた。
「ちゃんとできていたと思う。」
そして、自信なさげに言う。
「……偉そうには言えないが。」
私はそれが嬉しくて、微笑んだ。
「………俺も」
実弥が口を開いた。
「託されたもんは忘れてねえよ。」
どこか照れくさそうに言う。
天晴先輩がクスクスと笑った。
「頼もしい後輩たちがいたのね。」
「…はい!」
私は誇らしくて、元気に答えた。
だから。
だから、私は。
全てを託せたんだ。この輝かしい未来達に。