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キメツ学園【鬼滅の刃】

第29章 前世の記憶ー壺に落ちた落雷ー


私は刀を持てないほど手に力が入らなかった。

玉壺が近くに落ちていた壺に逃げようとする。


「待てッ!!!」


私は叫んだ。近くに落ちていた石を出鱈目に投げた。


「くそ野郎!!!」


刀を再び握る。走ろうとして転んで。

そこから体が一気に重たくなった。


「いつか必ず!!霞がお前を殺す!!」


私は叫ぶ。
玉壺が消えていく。


「覚えていろ!!」


捨て台詞にもならない言葉に誰も反応しない。


「きり、…さめ、ちゃん」

「…!!」

「…叫んじゃダメよ……怪我はないみたいだけど、…毒にやられているようだから。」 


私はすぐ彼の側に行きたかった。けれど。動くことができなくて。


「安城殿」


私はやはり笑っていました。まだ動き、話す彼に安堵しました。


「私が…運びますから」

「……良いわ。…ここに…置いていって…。」


一気に心が冷えきった。心臓の音がすごい。ダメ。こんなに動いたら、毒がまわりきってしまいます。


「私が……こうなったことを…気にすることはないわ……」

「安城殿、行きましょう」


私は彼の体を支えて立ち上がった。
彼は体に力が入っていなかった。


「…可能性のある……後世…に…」

「喋ってはいけません。」

「…生きて…もらわないと…」


何を言っているのか理解できませんでした。力なく私は歩き始めました。


自分の体も、安城殿の体もとても重たかった。


「…次世代に…繋ぐの……私もそうしてもらった…」

「安城殿」

「………あなたも…皆も、そうしてね…そう、するのよ…下の子に……後世に…繋いで…」


意識が朧気だった。私のことは見えているのだろうか?


「霧雨ちゃん…何も考えないで。何も思わないで。……私の死は他の人の死と変わらない。あなたのお父さんと同じ死よ。」


そう言われた。私はハッとした。


「それなら、なぜあなたの死はこんなにも悲しいのですか」


安城殿が、微笑む。
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