第28章 絆
私はまた放課後に安城殿と……冨岡くんで話していた。なんと、あの日から彼が仲間に加わった。
でも私は変にかき回されたくないから、なぜ私が安城殿と親しいのかを前世のことを含めて全て話した。
「それで最近不死川と話していなかったのか。」
「本当に申し訳ないわ。私のせいで…。」
いつもの屋上へ続く階段でそのやり取りは繰り広げられていた。
「私は……不死川くんにも安城殿のいいところわかってほしかったけど、…カチンってきちゃって…。」
「……霧雨ちゃん…。」
「お互い様だな。不死川も霧雨も…あと、この人も悪い。そんなにごちゃごちゃした耳してたらそう見られるだろう。」
「冨岡くん話し聞いてた?不死川くんと喧嘩した理由聞いてた?」
「聞いていた」
そういうことを言われてカッとなってしまってこういうことになったのに。本当に馬鹿だなこの子は。
「信じてほしいのならそういう風に振る舞え。少なくとも霧雨はそうしていた。」
「…え?」
冨岡くんの発言に場が固まる。
「霧雨は何を言われても堂々かまえていた。だから他の柱もついていったんだ。」
「………。」
……何だかこっぱすがしいこと言い出したな…。
「自分の素行を見直すんだな。」
「……そう…。」
安城殿がふぅ、と息を吐く。
「そう、立派にやっていたのね…。」
遠い昔を思い出すようにそう言った。
「あなたの言う通りだわ。こんなのはポイ、ね。」
すると、耳についているピアスを一つ一つ外し始めた。
「えええ!!良いんですか!?」
「良いも何も校則違反だ。」
「ちょっ、冨岡くん!!」
そして全て外した。耳に開いたピアスホールが見え、何だか生々しい。
「……穴を開けるとね、すっきりするのよ。私、死ぬ間際の記憶を一番覚えているの。穴を開けるとそれが忘れられる気がして…。」
「安城殿…。」
「逃げるの、やめるわ。」
ピアスを持った手をギュッと握りしめた。バキン、メキメキィっと不穏な音がした。冨岡くんの目が点になった。
……安城殿のこと知らないならこうなるか。
「もう大丈夫。私、生まれ変わったんだもの。」
手を開けば粉々になったピアスがそこにあった。
…ちなみに、帰り道で全部捨てていた。