第24章 前世の記憶ー霞がかる煉獄ー
「霞の呼吸、奥義、深奥________」
鬼が向かってきている。
私のどこを狙っている?どこから現れる?どこから責めてくる?
わかる。
全部感じられる。
私は後ろに飛んだ。
「きゃああぁぁぁっ!!」
「うわあぁぁっ!!」
小さな女の子と、大人の男性に鬼は襲いかかっていた。どちらもただの村人だ。
「いい加減にしてくださいよッ!!!」
私は思わず叫んでいた。相変わらず笑っていたけれど、額には怒りのあまり血管が浮かんでいた。
「なっ!?なぜわかった!?」
「落ち着け!!攻撃を二つ同時に防げるわけがない…ッ!!!」
嫌なことを言いますね。確かに。でも。
守らなければ柱は名乗れないのです。
私は持っていた刀を小さな女の子を襲っていた鬼にぶん投げた。
「ぐええっ!!!」
背中に突き刺さった。
もう一体には思いっきり飛び蹴りをくらわせる。
鬼が吹っ飛ぶ。だが。
「馬鹿め!!こんな刀へし折ってやる!!」
刀を手放してしまった。致し方なかったとはいえちょっとまずいですね。これは十二鬼月ではない方の鬼…蹴り飛ばしたのが十二鬼月ですか。
「黙りなさい」
私はありったけの圧をこめて言葉を放った。
鬼が怯む。
「へし折る?刀を?」
私は地面を蹴った。
鬼の背後に回り込んで刀を引き抜く。
「ぐっ、はや…!」
「あなたが遅いのでは?」
私はもとの場所に戻った。
「刀の価値もわからない奴が刀を侮辱するんじゃありません」
刀についた血を払っているうち、鬼の頚が落ちた。鬼は納得できない、という風に私を見上げている。
「く、くく、お前は気づいたいないだろ、死ぬぞ、お前、今晩、死ぬ」
そう言って鬼は消えていく。私は何を言っているのか理解できなかったが、数秒後にその意味を知ることになる。