第23章 面影
四対一の手合わせも終わり、私は千寿郎くんの出してくれたお茶を飲んでいた。
「化け物…」
宇随先輩が呟く。
皆手がしびれたと床にへたりこんでいた。
「……怪我してない?大丈夫?」
「怪我はない!案ずるな!!」
「……。」
煉獄くんが起き上がる。しかし、手はお化けみたいにぶらぶらさせていた。
「しびれる?治りそう?」
「大丈夫だ!」
「……」
にっこり笑っているけど心配だ。
前世で手合わせを挑んできた人に一度だけ怪我をさせたことがあって、それから気を付けていたのに。
「僕、氷持ってきますね」
「私も行く!」
千寿郎くんの後に続いて道場を出た。
「あ~。やっちゃったよ、四人相手になると…つい。」
「大丈夫ですよ。それに、あんなにどんどん技を出すなんて…本当にすごかったです!」
「…ありがとう。」
その無邪気な笑顔に少し救われた気がした。
瑠火さんから氷をビニールに包んでもらった。
道場に戻り、皆にそれを配る。
「本当にごめん…。皆治りそう?」
「平気よ~。」
皆はよくなってきたみたいでさっきより顔色が明るくなっていた。
「よーし!もう一回やろうぜ!!」
「お、賛成」
「うむ!まだまだ動けるしな!」
「いいわね~。」
すると四人がとんでもないことを言い出したので私はぎょっとした。
…もういいや。私見学で…。
「霧雨さん!やろう!!」
「いや、本当にけっこうなんで…!!」
しかし、またしてもやるはめになってしまった。