第4章 煌めき
激動の夏が終わる頃には、美術部は落ち着いた。宇随先輩は美術のコンクールで表彰された。伊黒くんはと言うと、宇随先輩ほどのものではないが賞をとっていた。
吹奏楽部のコンクールはよい成績ではなかったが、全校集会の表彰式で私は盛大な拍手を送った。
吹奏楽部が暇になると次は学園祭に向けて美術部が忙しくなった。将棋部は安定ののんびりさを保っている。
体育館のステージに毎年大きな絵を飾るらしいのだが、それを美術部が作るらしい。今のところ美術部は高等部の先輩達はいないので、中等部の三人でやるしかないのだ。
吹奏楽部では文化祭の体育館のステージで新入生は初舞台を踏むのだが、私は出られない。先輩が一年生の時は美術部の部員は今の何倍もいたらしいので、吹奏楽部の舞台に出られたみたいだけど。
「悪いな、霧雨…。吹奏楽部も頑張ってたから出してやりたいんだが…。」
「大丈夫です!私たちの描いた絵を背景に皆が演奏するんですよね!張り切っちゃいます!!」
私は本当にそう思っていた。
吹奏楽部の同期達も私の分も頑張ると言ってくれたので嬉しかった。
キメツ学園は中高一貫なので、三年生が部活を引退することはない。なので美術部には宇随先輩もいる。宇随先輩だって中学では最後の文化祭の舞台なのに。
そのこともあっていっそう頑張ろうと思った。
暇さえあれば将棋部も吹奏楽部も顔を出した。
でもほとんど美術部一色の日々だ。
伊黒くんが何回か言ってくれた。
「俺がお前の分も描くが。」
でも私は首を横に振った。
「出られないのは宇随先輩も同じだもん。」
「…だが。」
「大丈夫!ほら頑張ろう?」
宇随先輩は毎日来ているわけではなかった。エスカレーター式とはいえ三年生。忙しいんだろう。卒アル係になったとかこの前言ってたからなぁ…。