第18章 年明け
お願いごとか。決めてなかったな。
(…私が……)
向こう側の、無表情の私が頭に浮かぶ。
(幸せになれますように)
今はそう願うしかない。
私達はお参りのあと、お守りを買おうと売場へ進んだ。
「、何買うの?」
「うーん、普通に学業かな。」
青地のそれに手を伸ばすと、カナエが横から差し出してきた。
「恋愛成就は?」
「いッ、いらない……!!!」
「え~?買えば良いのに。」
カナエがお守りを元に戻す。結局二人で学業守を買った。
そして、次はおみくじを引こうと売場へ向かった。
「さぁ~何かな~?」
「うーん…あ、大吉!」
「私小吉…でも嬉しい!」
二人で笑いあい、じっくりと文章を読んだ。
「、恋愛は?」
「え……。あー、待てば叶う、だって。」
「へえ~。向こうから告白してくるってこと?」
「ちっ、ちがうよっ!!もうからかわないでよ!」
「ふふふ、ごめんごめん。がかわいくて~。」
カナエはそう言いつつまたからかってきた。
もうこれは何を言っても無駄だなと私もカナエと一緒になって笑った。
すると、私は異端な気配を感じ取った。
全力疾走というように、ものすごい勢いで誰かが近づいてきている。
「カナエッ…!」
私が彼女を庇うように前に立った。小さな悲鳴が聞こえた。けど、このままじゃカナエにぶつかっちゃう。
「ありゃ?気づかれた!?」
「……アマモリくん!?」
思わぬ人物に驚いた。走って私達に近づいてきていたのは彼だったようだ。
「なーんや、驚かせよう思たのに。」
「心臓に弱いよ…。」
「もう、何事かと思ったわ。」
「ごめん、カナエ。」
どうやら私達を見かけて突進してきたらしい。
その後ろから、ニョキッと実弥が顔を出した。
「テメエ、何急に走り出してんだよ!!」
「おー悪い悪い、美人さん見えたからちょっかいかけよう思て。ついでにお前に迷惑かけよう思て。」
「しばきまわすぞクソがッ!!!」
新年早々口が悪い。でもその様子を見ると、中が悪いようには見えなくて私はホッとした。