第15章 朦朧
気持ちが悪い。最悪の目覚めだった。
「珠世先生」
ベッドから起き上がりカーテンを開ける。
珠世先生はビクッと体を震わせる。何だかオーバーに驚くな、と思っていると昼休みのメンバーが揃っていることに気づく。彼らだけでなく、悲鳴嶼先輩と宇随先輩もいた。
「……珠世先生…ですよね」
「はい…どうかしました?」
「いや…」
私は口許をおさえた。気持ち悪い。
「……大丈夫?」
「うん、だいじょ…」
(おいしそう)
発言と同時に何か声が聞こえた。
その声は、紛れもなく私の声だった。
「?」
「あ、ううん、平気」
私は何とか笑顔を作った。
「霧雨さん、具合が悪いのならまだ寝ていて大丈夫よ。話はほとんど聞かせてもらいましたし…。」
「いえ、私も参加します。遅れてすみませんでした。」
空いていた席に腰かける。
「……無理はしない方が良い」
「大丈夫です、悲鳴嶼先輩」
「……そうか」
落ち着いたところで、そこに担任教師がいることに気づいた。
「霧雨さん、お話しは聞かせてもらいました。皆さん、配慮のない行動は反省しておられますし、今後このようなことがないように注意しておきました。」
「…そうですか」
「教室に戻るのはゆっくりで大丈夫です。皆待っていますから。」
良い人だ。この先生、本当に良い人だ。被害者のことも加害者のことも思いやることができる。この人のクラスでよかったと思う。
でも…今回のことは多分、全て両親のせいになっているんだろうな。
「ここには皆いますし、何か言っておきたいことはありますか?」
担任に問われる。私が沈黙していると、珠世先生がそっと背中を撫でてくれた。
「大丈夫です。」
ちょっと声が震えたけど言い切った。そこで担任がまとめの言葉を述べ、各自解散になった。
「……、顔色が悪いんじゃない?」
「寝起きだからだよ。」
心配してくれたカナエにそう言って私も家に帰る。
帰り道は当然実弥と一緒だった。