第5章 jackal
強く何度も痙攣を起こし続ける私のなかで漸く石切丸が終わりを迎えた。
声を出しすぎたせいで喉がカラカラだったが、もう身体を動かすこともツラい。
「すまなかった。どうしても止められなかったんだ」
言いながら力の入らない私の身体を抱き締めた。
「そういえば君は指輪、というものをしていないね」
私の左手をとり見つめながら言う。
小さく頷くと、
「…ひょっとして夫婦仲がうまくいってないのかな?」
「うまくいってない、というか」
すれ違いが多い。あまり会話もない。
「まぁ…うまくいっていたらこの仕事は選んでいないでしょうね」
皮肉っぽくなってしまったなと思いながらも言った私に、
「ならば、そのことさえも感謝しなければいけないね。お陰で君に会えた。君の主人がどうであれ、私が君を愛し続けると誓おう」
石切丸の声が優しく響く。
そして私の瞼もだんだん重たくなってきた。
「眠れそうかい?」
「はぃ…凄く、眠い…」
安心したような表情の石切丸を最後に私は眠りの世界へと旅立った。
しばらくして目を覚ますと、私は審神者部屋にいた。
服はきっと石切丸が着せてくれたのだろう。だが、ボタンがひとつずれていた。
そして下着は脇に置いてあった。
身体を起こすと、なんとなくだけど、腰が痛い。
そりゃそうか。昨日と今日、あんな風に求められたのは初めてだというくらいのセックスをしたのだから。
付喪神様は普通の人間よりも情熱的で絶倫のようだ。
そしてなんだかお腹が空いた。
昼食の準備をしているのを見たあとに連れ出されたんだった。
どうしよう。厨行ってみる?
少し悩んで立ち上がり、下着をちゃんとつけて部屋から出た。
「暑っっ」
さすがに正午を過ぎると日差しが強い。
今すでにこんなに本丸で過ごしていても、戻れば多分お昼前。
さすがに慣れない。
なんだか頭が痛い。
疲れかな、なんて思いながら厨を覗くと、光忠と物吉、山姥切が昼食後の片付けをしていた。
光忠はいつも厨にいるな、なんて思いながら見ていると、
「おや、主。まだいたのかい?」
気づいて笑顔を見せてくれた。
「うん。ねぇ光忠お腹空いた」
「えぇ!!?和泉守くんが主は食べずに帰るって言ってたから何も残ってないよ!!?」
そうだ。私がそう言ったんだもん。和泉守はなにも悪くない。