第7章 Can you guess what?
目覚めると、再び審神者部屋にいて先程とは違う着物が着せられている。
淡いブルーの生地が涼しげだった。
身体を起こすと、頭の痛みは全くない。
痛いのは、腰と腹筋。
このままだと私も小狐丸みたいになれるかも。んなわけないか。
布団から抜け出し、さっき光忠が置いていってくれたお粥に手をつける。
朝から何も食べていなかったし、すっかり冷めてしまっていたがそれも心地よかった。
冷たさが気持ちいい。そしてなんかぼんやりする。まだ熱下がらないな…。
お粥を少しずつ食べながらまたあの苦い葉っぱのお茶飲むのはやだなぁ、なんて思っていると、
「主、ちょっといいか」
声がした。
匙を置いて、
「はい。どうぞ」
声をかけると蜂須賀が襖を開け、入ってきた。
「すまない。朝からどうも滾っていて、もて余してしまっていてな。だが俺は出陣もなかったから指示もないが浦島にも会いたくなってしまって、勝手に鍛刀をしてしまったんだ」
そうか。別に私がいなくても彼らも力を持った付喪神。鍛刀くらいはできるのだろう。
ただ、最後に息を吹き込むのは私の仕事。
だからきっと呼びに来たのだろう。
「来たの?浦島くん」
私はどんな男士か知らないが、蜂須賀から何度か話を聞いたことはある。
確か脇差だったか。
「いや、浦島じゃなかった。ただ、あまりにすごいので一刻も早く報告したくてな。顕現頼めるか?」
「わかった」
蜂須賀からはとんでもない高陽感が伝わってくる。
だから私も、食べかけのお粥に蓋をすると立ち上がった。
「った…」
案の定痛む腰。
「どうした?大丈夫か?なんか顔も赤いし目も虚ろだが」
「平…気。ごめん行こう」
ギシギシと痛む腰に手を当てながら蜂須賀について歩いた。
これは光忠だけのせいじゃない。絶倫小狐丸と清光も含まれてる。
石切丸の言ってた私の身体がもたない、はこちらの意味だったか。
「昨夜の浴衣は加州だと言っていたが今日のもか?」
「判んないんだよね」
「判らない?それは俺も判らないが」
蜂須賀の疑問にはうまく答えられなかった。
そして鍛刀部屋につくと、そこにはやけに大きな…。
「薙刀、だ」
うちにはまだ居なかったものだ。
相変わらず抜き身の刃物は怖い。
鍛刀したての研ぎたてだからなおさらだ。
「お願い、できるか?」
「うん」