銀の鳥に幸せのトリガーを....【ワールドトリガー】
第10章 ついに来た!正式入隊日!
「今の迅さん?」
『!?遊真!』
何の気配もなく急に声をかけられた海影はビクッ!と驚き振り替える。
すると先程まで誰も居なかったはずの海影の背後に、少し不機嫌そうな遊真が立っていた。
「迅さんと話してたの?」
『え、あ、うん。ところで遊真どうしたの?』
「.....おれのせいで、迅さんが[ 風刃 ]を差し出してミカゲは本部に転属することになったってホント?」
まっすぐした目で問いかける遊真。
そんな遊真を見て、海影は一瞬キョトンとするとあははッ!と笑い始めた。
『“おれのせい”なんて言わないの。嫌々した訳じゃないし、迅さんには迅さんの、私には私の考えがあってしたことなんだから。でも、その話を知ってるってことは風間さん辺りが遊真に言っちゃたのかな?』
「風間さんとオサムの会話を聞いた。何で隠してたの。」
海影の張り付けていた笑みが消える。
『隠してた訳じゃないけど....言っちゃったら修が責任を感じちゃうでしょ?』
「なんでオサムが?」
『だって修は私以上の面倒見の鬼だからね。迅さんや私が自分達のためにブラックトリガーを差し出し、転属することになった、僕たちのせいで...とか考えそうだもん。』
「たしかに。オサムだったらあり得るな。」
『でしょ!?ホントにあの子は優しい子だよ。』
海影の言葉にふむふむと頷いている遊真に海影はそう言うと優しく頭を撫でた。
『それに、これは私がそうするべきだと思ったからしただけ。誰のせいでもない。決めたのは誰かじゃない私達自身で決めたこと。だから迅さんも私も後悔なんてしてないよ。これが理由じゃダメ?』
困ったように笑った海影を見て遊真は一瞬キョトンとした後、にやっと笑った。
「いや、ダメじゃないよ。」
『理解してくれてありがとう。遊真!さ、訓練に戻ろうか。』
「待って。ミカゲにも一応、チビレプリカを渡しとく。」
『え?』
「何かあったときは呼んでくれ。俺とレプリカが力になる。もう俺たちは仲間だからな!」
『ふふ。ありがとう。遊真。私に何かあったときはお願いね。』
遊真より数歩だけ前を歩いていた海影は少しだけ振り替えると早くおいでと言うように、視線を向ける。
遊真は視線を向けた海影の後を追うように歩き始め、二人で二人を探し回っていた修と千佳の元に戻るのであった。