銀の鳥に幸せのトリガーを....【ワールドトリガー】
第5章 害虫駆除します!
「さーて、いくぞ。みんな」
迅の指揮のもとA級隊員からC級隊員まで動員した小型トリオン兵一斉駆除作戦が昼夜徹して行われた。
「反応がすべて消えた。ラッドはこれで最後のはずだ。」
そして空を飛んでいたレプリカの終了を告げる言葉と共に一斉駆除作戦は完了した。
「よーし!作戦終了だ。皆よくやってくれた。お疲れさん!」
『ふぅ。やっと終わった~』
くあ~~。迅と同時に海影はあくびをする。
「これでもうイレギュラー門は開かないんですよね?」
「うん。今日からまた平常運転だ。」
『よかったね。修。』
「....よかった。」
一安心したところで海影は大量のラッドの死骸をツンツンと触っている。
「しかしホントにまにあうとは。やっぱり数の力は偉大だな。」
『そうだよぉ~でも間に合ったのは遊真とレプリカのおかげだよ。』
「おまえがボーダー隊員じゃないのが残念だ。表彰もののお手柄だぞ。海影もお疲れさん!」
迅は二人の頭をわしゃわしゃと撫でる。
撫でられて嬉しいのか、海影はえへへっ!と年相応の少女のような表情を浮かべていた。
「じゃあその手柄オサムにツケといてよ。そのうち返してもらうから」
「あーそれいいかもな。メガネくんの手柄にすれば、クビ取り消しとB級昇進はまちがいない。」
『じゃあそれは私が報告しとくよ!クビ取り消しとB級昇進を確定できるように報告しとく。』
「ま、待ってください!ぼくほとんど何もしてないですよ!?」
勝手に話を進めていく三人に修は待ったをかける。
「メガネくんがいなかったら遊真たちに会えてないし、地味に重要人物なんじゃない?」
「そんな無理やりな....」
『B級に上がれば正隊員。基地の外で戦っても怒られないし、トリガーも戦闘用になるんだよ?』
「海影の言うとおりだ。おれの経験から言って...パワーアップ出来るときにしとかないといざっていう時に後悔するぞ。」
さっきとはうって代わり真剣な様子の迅の声が修に浴びせられ、修は何も言えず二人を見る。
『千佳を守りたいんでしょ?』
海影の言葉が修の鼓膜に木霊する。
夕暮れの街はそんな修たちを見守るように空を暗く染めていくのだった。