銀の鳥に幸せのトリガーを....【ワールドトリガー】
第15章 絶望の足音
「出水」
「はい?なんですか?」
「これは迅の予知でまだはっきりしてないが....」
「?」
「今回攻めてくる敵に赤月と似たトリガーを持った奴が来る。」
「は!?」
太刀川の発言に出水は目を見開くと、ガタンっ!と立ち上がった。
「それが海影なのかは分からない。だが、仮にもし海影だったとしても俺たちはそいつを倒す。」
「じょ、冗談ですよね?」
「冗談じゃない。俺たちはもしかしたらアイツを倒すことになるかもしれない。みんな覚悟の上でこの作戦に参加する。」
「っ.....仮に────」
「?」
「仮にそれが海影だったとしたら俺にやらせて下さい。」
「バカ言うな。お前はランク戦の実況があるだろ。」
「それでも!!」
普段大声を出さない出水から聞こえた声に太刀川は驚いたような顔をする。
「それでもアイツは俺の幼馴染だから....大切な奴だから....俺が助けてやりたいですっ....」
「....」
苦しそうに呟いた出水に太刀川は呆れたようにため息を着く。
「ダメだ。お前には任せる訳には行かない。」
「どうしてですか!」
「お前にはまだ早すぎる。アイツの業を背負うにはな。」
「業って?アイツに何かあるんですか?」
「.....さぁな。まだ今のお前に教えるのは早すぎる。もう少し成長してからだな。」
太刀川はそう言うと出水の意見も聞かず去っていく。
運命は動き出した。
その事に誰も気づいてはいない。
この先に待つのは絶望か希望か。
それは神のみぞ知る。