銀の鳥に幸せのトリガーを....【ワールドトリガー】
第13章 残された心たち
「ごめんね修くん。海影ちゃんは...アフトクラトルに連れ去られたちゃった。」
「そんなっ...嘘ですよね?ですよね!?宇佐美先輩!」
「嘘じゃないよ。」
宇佐見は酷く顔をゆがめると、涙を零しながら修が気絶する前の海影のことを話し始める。
皆を庇って連れ去られたこと、迅の予知でも海影がどうなるか分からないこと。そして大規模侵攻に参加すれば自分がどうなるかわかった上で参加していたこと。
全てが宇佐見によって告げられた。
「海影ちゃんは修くん達には手を出さないで。私のことは好きにしていいからって言って敵の手に...
皆を庇って連れていかれちゃった。」
「っ...すみませんでした。僕の力が足りなかったせいで...!海影先輩とレプリカが...!」
「違うよ。修くんは悪くない!海影ちゃんだってきっとそう言うよ。」
「それでもっ...僕かあの時あんなことしなければっ。海影先輩は...」
修はそう言うと意識を失う前の海影のことを思い出す。
自分だって怖かっただろうに、痛かっただろうに修達を守るために立ちはだかった姿。
連れ去られる時、恐怖に顔を歪めながらも笑顔で出水に言伝をと。言って消えていった海影を思い出し涙がポロポロとこぼれ落ちた。
「そん...な...僕のせいでっ。」
「修くん自分を責めないで。海影ちゃんはそんなこと望んでない。」
「すみません...すみません...海影先輩っ。」
修は絶望するように顔をゆがめシーツを握りしめたのだった。