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銀の鳥に幸せのトリガーを....【ワールドトリガー】

第13章 残された心たち


海影が拐われて数日
大規模侵攻により甚大な被害を受けた三門市は、大切な物を失った人々の心の痛みを置き去りに少しずつ復興を始めていた。
街は復旧作業に追われ、慌ただしく人々が駆け回っていた。
 
「────以上が今回のアフトクラトルのネイバー侵攻に対する対処の概要なります。」
 
「ご苦労。みなの検討と奮闘を心から称えさせてもらおう。
状況が落ち着き次第可能なものから休養を」
 
「了解です。では。」
 
「彼の.....」
 
忍田が部屋を去ろうとした瞬間
城戸が引き止めるように何かを言いかけた。
 
「....?」
 
「彼の具合は?三雲隊員だ。」 
 
「三雲隊員は今は容態も落ち着き、三門病院へ移動しているようです。」
 
「そうか。それと...海影隊員はどうだった?」

「海影隊員は...」

城戸の問いに忍田は言葉を濁すと目を背けた。
その意味を理解したのだろう。城戸は絡ませていた両手をきつく握りしめた。

「調べた結果赤月と共に連れ去られた痕跡があったそうです。おそらくは生きているとは思いますが....連れ去られる少し前....サイドエフェクトの暴走する様子が見られたそうです....」

「そうか。もう下がってくれて構わない。引き止めてすまなかった。」
 
「いえ。城戸司令。お言葉ですがひとつよろしいですか?」

「なんだね。」

「...これは司令である貴方ではなく、海影の1人の伯父である貴方に言わせていただきます。
...この度は海影さんを守ることが出来ず申し訳ありませんでした。」

「...君が謝ることは無い。あの子を焚き付けたのは私だ。私の失態だ。」

「あまり自分を責めないでください。海影はそんなこと思っていません....」

「...しばらく1人にさせてくれ。」

「..わかりました...では。失礼します。」

忍田が出ていった部屋で城戸はため息を付くと机の引き出しを引き出す。

そこには【遺書】と記された封筒が1つ置かれていた。

城戸はそれを一瞥すると曇り始めた空を見上げたのだった。
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