第3章 信長様が欲しい。
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城へ帰る途中、だんだんと呼吸が苦しくなり 身体中が熱くて 今はどうにかなりそうなのだと、美歩は途切れ途切れに訴えた。
美歩の側まで行き顔を寄せてみれば、荒げる吐息から微かに甘く 南蛮の酒のような香りがした。脈を取れば異常な速さだ。またそのとき首へ触れた美歩の態度が、何より異常であった。
美歩の目を覗き、様子を伺うと、
瞳が揺れ熱を放っている。
その場で 美歩の帯へ手を掛け素早く脱がせると、襦袢一枚になった美歩は酷く動揺して震えだした。
「信長様っ、…ハァッ… ハァ … ……
…なっ… なにするんですか?!」
襦袢を割って 慌てる美歩の内腿を撫で上げれば、しとどに濡れ垂れていた。
「ひやあぁぁっ!!」
「…なるほどな 」
「っ!………なんですか…?!」
「媚薬だ。お前が舐めた蜜と言うのはおそらく媚薬の類いだろう。」
「……び、びやくっ…?」
「体が熱く疼いてるであろう?媚薬とは性の道具だ。激しい閨事を好む者のな。」
「っ!!……」
「どうして市の店主は貴様にそんなものを盛ったんだろうな? いや、お前は自ら舐めたと言ったか。……なぜ貴様は毎度毎度怪しい男を惹き付けるんだ。」
「………ごめんなさい。」
「そこで待っていろ。」
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「秀吉! 秀吉──っ!!」
「 御館様、何事ですか!?」
秀吉へ 城下で美歩に妙な蜜もとい媚薬を与えた店を 早々に調べ上げるよう告げ 天守へと戻った。
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美歩は毒でも口にしたと思ったのだろう。死にそうだと美歩は言ったが、確かにそう感じるほど鼓動の早さが尋常ではなかった。媚薬には違いないだろうが、どんな粗雑なものが混じっているかもわからん。美歩の熱を楽にしてやる方法はあるが、これ以上興奮状態にさせるのも危険に思えた。
「ハァ…… 信長さま…」
「今楽にしてやる。」
天守へ戻ると、先程と同じ状態で項垂れていた美歩を抱き上げ 奥の閨へと運んだ。
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