第1章 占納
AESOPサイド
いつものように、イライ兄さんに助けられる。
虐待されていても、キッとイライ兄さんが助けてくれる。そんな期待をしている。
家を出て駅前のロータリーを歩く。
「今日も暑いね、涼みに海にでも行こうか?」
手で汗の流れる首筋に向けてパタパタと仰ぐしぐさをしている。
Tシャツから見える鎖骨を見て少しドキ、とする。
「そうですね…行きましょうか。」
梅雨の過ぎたあとにはジワジワと蒸せかえるような暑さの夏。
僕は夏がどうにも好かない。
でもイライ兄さんと過ごす夏はまた別に思える。
「海といってもこの辺にはないですよね?」
ちらり、とイライ兄さんを見る
「少し遠出をしようか、時間は少しかかるけど、江ノ島とかね。」
その言葉に大きく頷いた。