第1章 占納
EliSIDE
隣の家のイソップくんは虐待を受けていると思う。
イソップ君の家は隣で壁も薄い、そのせいで声が丸聞こえだ。
母や父は揃って「関わるな。」という。
私にはどうもそれができない。
イソップくんの苦しむ声、泣き声、甘くとろけそうな声、全てを私だけが聞いていたい。
そんな独占欲に刈られる。
イソップくんは社交恐怖というものがありながら私にはなついてくれていると思う。
自惚れているだけかもしれないが。
イソップくんは私を信頼していると思う。
もし気持ちを伝えたらきっと信頼を失ってしまう。
だから私はイソップくんを助けるだけで、
それだけで
大丈夫だ。