第9章 Drunk Sweetie
____ まだ日が高い、午後三時頃。
「そんなにわかりやすく落ち込まないの。 お前はあの試験に合格したんだから。 額当ても似合ってるよ。」
何度目か分からない深い溜息を聞かされ続けてるカカシは、何とか彼女の気持ちを上げてやろうとニッコリ微笑む。
さきはチラリとそちらを見るも、すぐに困ったような顔をした。
励ましの言葉は有り難いが、現実問題仕事が手に入ったって家がないのでは生活していくのに非常に困る...何時までも宿に泊まる訳にもいかないし...と、考えれば考えるほどこれから先が不安だ。
『だって...家なくなってもたんやもん...どうするんよ~...』
「また新しいとこ借りればいいでしょ」
何言ってんの?と彼は続ける。
自分が今まで住んできたという家が無くなったにも関わらず、カカシはこれっぽっちも困ったような素振りを見せない。
(いや、ほんまに、何でやねん。)
『しかもカカシは里外へ任務って...私聞いてないし...』
「いやぁ言ったつもりでいたんだけど...雨隠れへちょっとね......と言ってもたったの二週間よ?」
『えぇっ!二週間も??』
二週間と聞いて、さきは更に落ち込んだ。
さきとカカシが二週間も離れたことなんて出会ってから一度もなかった。
もう何ヶ月もカカシと共同生活してきたのだ。
そりゃ任務なんかで数日いないことはあったけれど、彼がそんなに長いこといないなんて、更に不安で仕方ない。
それに......何より寂しい。
「そっか、そんなに寂しいの」
『そりゃねー... って!!ちがうよっ!』
「いやもう顔に書いてるし、お前。 心の声ぜーんぶ顔に出るの、知らないの?」
さきのその時の顔はというと、眉が八の字になり、目線は斜め下へ。
唇を尖らせて誰が見ても分かりやすく寂しがっていた。
まるで自分の心を読んだようにカカシが言うのでさきはポロリと本音が出てしまう。
一応最後に違うとは言っていたが、カカシからするとその照れ隠しさえも愛おしい。
彼はニコニコとしながらさきを揶揄いポンポンと頭を撫でた。
『またそうやって揶揄う! 寂しい寂しい!寂しいですよっ』
「照れるなよ」
『照れてなんかないっ』