第8章 火影の合否判定
まさか帰る場所が取られるなんて想像もしなかった。
家にあるお気に入りのミシンとか、ちょっといい服とか、まあこれらは全てカカシの厚意で買ってもらった大切なもので言い方は少々悪いが、“その程度”だろうなとさきは甘く見ていたのだ。
(火影様は満足気だったし、カカシの家まで無くなっちゃうし、ほんまにどうしよう...... おまけにカカシは三日後には任務で里外に行くみたいやし...)
さきには困惑と不安の溜息をつくことしかできなかった。
「さて、これにて試験終了じゃ。 カカシ、“例の件”頼んだぞ。」
「御意。さき、行くぞ」
『はい...失礼します』
あぁなんだかもう、色々とショックだ。
ひとまず、数日分の着替えや下着、小物なんかを二人の荷物を預かってくれている場所へ取りに行き、「帰る家もないからねえ」と呑気に笑うカカシに半ば引きずられるようにして、真昼間にも関わらず宿に向けて足を運んだ。