第8章 火影の合否判定
火影室の前まできてしまった。
...あぁどうしよう...と、さきはノックする手を上げては下げを何度も繰り返した。
(いや、でも任務失敗やからなこれ......いや、でも後悔はしてない。......けど、でも、命令違反で...)
自分の信念には忠実な行いをした。
しかし、これは任務を模した試験だ。里の命令だとしたら、それに背く結果となってしまった自分はどうなってしまうのだろうか...と考える。
『...腹をくくるしか......』
さきは意を決してコンコン と力なくノックする。
『夜野さきです。ただいま戻りました』
中から、穏やかな声色の火影様の声が返ってきた。
「入れ」
その言葉を合図にドアを開き、一歩二歩と前へ進み、火影様の前で止まる。
「おお、帰ったか。任務はどうじゃった?」
火影様はニコニコとした笑顔でさきに問うた。
『...はい。巻物は......こちらに。』
スっと手に持つ巻物を前へと差し出す。
「...ほう。渡せなんだか。」
火影様は真剣な目でさきを見つめた。
『はい。...任務は失敗しました。』
さきは、向かった集落で何があったのかを簡潔に報告し始めた。