第6章 衝動…?
「おっと」
カカシは、横に倒れそうになるさきを崩れ落ちないよう、すかさず片手で支えた。
『ねぇ...はぁ...はぁっ...今の、できてる?』
さきは、はぁ はぁ と荒く息を吐きながら術は完成したかとカカシに問う。
カカシの横に立つのは、もう1人のさき。
彼女は心配そうな表情をして、カカシの抱えるさきをおろおろと覗き込んでいた。
「よくやった。成功してるよ。」
ニコっと微笑んで頭をポンと撫でてやる。
『やった......』と目を三日月形にして喜んださきは、そこで意識を手放した。
同時にもう1人のさきもその場から居なくなった。
(大した女だよほんと。)
腕の中のさきを見つめ、カカシはふっと笑った。
オレは昔から天才だとか周りに言われているけど、それなりに、真剣に修行も積んできた。
それに自分で自分を天才だと自負することはない。
ただ、他人から見た天才は、やっぱり天才だ。
つまり天才とは努力の賜物だ。と、オレは思う。
例えば、全身タイツのしつこい変なアイツみたいな......
「お前“も”天才だってことだね」
いつの間にかすぅすぅと寝息を立て始めたさきに、もう一度褒め言葉を掛けて、そっと頭を撫でてやる。
そして今日は背中におぶるではなく、横抱きに抱えて、二人の住む家に戻った。
頑張ってるお前に、上手い飯作ってやらないとね、と思いつつ。