第67章 予選開幕-3-
『なんで術が破れたの…?!凄い…!』
「いののチャクラ不足…それもあるが…それ以上に効いたのはサクラの心の内にある、いのというライバルへの闘争心か…」
『闘争心って言っても…その点でも二人は結構張り合って…』
ここまで来ればもはや忍術や体術合戦などではない。
それがどんな種目の戦いであったとしても最終的に最も大切とされる精神の戦い。
しかし体力・技・精神面でも均衡しきっていた二人のやり取りの中に、サクラちゃんの闘争心を掻き立てる何かがあっただろうかと、さきはほんの少し前を振り返った。
『…あ。もしかして』
“サスケバカ女なんかに負けたら…女がすたるぞー!”
さきの耳の奥の方で、ナルトのキンキンとした声が響いた気がした。
『ナルトくんのさっきの応援のおかげ…とか?』
「…ま、おそらくな。それが引き金となって呼び覚まされ…いのを追い出したんだろう」
さきは酷く感心した。
『そっかぁ…あの子も負けず嫌いやもんね』
それもナルトくんやサスケくんにも劣らない、人一倍強い気持ち。
そして何よりこんなにも人の声援が誰かの力になることを実感したことなどなかった。