第67章 予選開幕-3-
サクラといのは、呼吸を整えながら睨み合いを続けていた。
そして、次の攻撃に最後の力を振り絞り、互いに同じタイミングで駆け出し―――拳を思い切り、相手の顔面へと向けて放った。
―――――― ガッ!!!!!
痛々しい音が響き、弾けた血と汗が宙を舞う。
2人の額当てが殴られた衝撃で外れ地面へと落ち、体はそれぞれが力を加えた方向へと投げ出された。
大きな音を立てて激しく擦れる体…二人の間には、殴る前よりも大きな距離ができていた。
互いになんとか体を起こそうと試みる…そこで―――
―――――― ドサッ
――――――ドサッ
二つの離れた場所から、同時に重たい音がした。
脳震盪でも起こしたのだろう…サクラと、いのが倒れた音だ。
両者は共に力尽き、共に地面に倒れ込んだのだ。
審判のハヤテが二人の状態を確認する。
遠目から見ても、どちらにも動くような気配はない。
そして…
「両者続行不可能…ダブルK.O.により予選第四回戦通過者なし!!」
――――――若きくノ一の勝敗の行方は、引き分けという結果となり幕を閉じた。