第67章 予選開幕-3-
いのはニヤリと笑みを浮かべ、動けないでいるサクラに向けて印を構えた。
再び顔の前で構えられた印。
動きを封じた敵に、彼女はなんの躊躇いもなかった。
「じゃ……心転身の術!!!」
今度こそ、いのは膝から崩れ落ちた。
そして、いのによってサクラの精神が乗っ取られてしまった。
「あそこで心転身の術とは…やられたな」
敵ながら策士である。
カカシはこの時点でサクラの負けを大方認め、ため息交じりに呟いた。
『荒業ではあるけど…立派な戦略やね』
「ああ……サクラの精神は完全にいのに乗っ取られた。
サクラの中には今、いのがいる」
あまり状況が把握できていなかったであろうナルトも、カカシの説明で流石にそれはまずいと理解したのだろう。
顔を硬直させていた。
「ま!いのの狙いは恐らく…」
―――恐らく…降参させる気だ。
スッと審判のハヤテに向かって片手を挙げる“サクラ”。
「私…春野サクラは、この試合…棄権…
「……ダメだぁっ!!サクラちゃん!!」
『! ナルトくん』
続けて、棄権を宣言しようとした彼女に、ナルトは大きな声で声援を送った。