第66章 予選開幕-2-
サスケの次に行われる試合の対戦者の名が電光掲示板に表示される。
音隠れの忍ザク・アブミと、ナルトらと同期の紅班の油目シノの戦いだ。
さきは掲示板から試合場内へと視線を移した。
座り込んでいたままのサスケはカカシと共に出口へと姿を消し、ゴホゴホと咳込むハヤテだけが残されていた。
(これからカカシは、すぐにサスケくんの呪印を封印してくれるはず。サスケくんは、肩をしきりに押さえてた。長い試験で…ただでさえ精神がする減ってキツいだろうに…強がってはいるけど、きっと苦しいのよね)
さきがぎゅっと唇をかみしめている隣で、ナルトはう~んと小さく唸りながら眉間に皺を寄せていた。
「サクラちゃんそういえば試合中…サスケの首に変な傷みたいなの見えなかった?」
「!」
ナルトからの質問に、サクラは小さく驚いて、しばらく黙り込んだ。
あれだけ食い入るようにサスケくんを見ていたのだから、気付いていないわけがないということは明白だ。
しかし、
「私も…わからない」
サクラはなんとも曖昧な言葉を口にした。
「そっか」
その解答だけでひとまず納得したのか、ナルトはそれ以上を聞かなかった。
『…サクラちゃん、大丈夫。サスケ君にはカカシが付いてるから』
「え…さきさん…」
さきは笑顔だけで返事をした。
「……そうよね!」
『うん。今は自分の試合のことだけ考えて。そのために私たちがいるんだよ』
「…はい!」
―――この子達に余計な心配をさせるわけにはいかない。
全て片付いてから説明したほうが良いに決まっているのだから。