第61章 異変
「チィ…!こうなったらお前を火影様の所へ連れて行く!」
「いえ…塔に行って…」
「何を言ってる!!大蛇丸がこの里に来た時点で戒厳令が発令される!試験どころじゃない!」
(……大蛇丸がこの里に来た?!)
アンコと暗部のやり取りを聞いていたさきは自身の耳を疑った。
『ねぇっ…待ってどういう事?!……まさかやけど、草隠れの三人を殺した犯人に関係してないよね?!…それが、大蛇丸ってこと?!』
状況がイマイチ呑み込めないさきは、声を裏返らせながらこめかみを人差し指でおさえた。
アンコはゆっくりとさきの方を向き、肩に手をポンと乗せて、深刻な顔で、ゆっくり息を吐き出し、呼吸を整えながら言った。
「…とにかく…詳しい話は塔でするから……火影様も塔に呼んで…」
『……私がアンコを連れていきます…どちらかおひとりが火影様をお連れして下さい…』
全く腑に落ちない様子ではあるが、さきはそれ以上この場で聞くのをやめた。
アンコの脇に腕を差し入れ、体を密着させて上体を起こした。
「ありがとさき」
「気にしないで。…行こう」
二人はもう数キロ先にある、この森の中心の塔まで走った。