第61章 異変
さきはコテツ、イズモと共に里内を巡回することになっていた。
この二人とは里外の任務に着く際、あんの門の駐留所で軽く挨拶を交わしていたくらいで今まであまり面識はなかったものの、年齢も変わらないことから気さくに話しかけてくれて、打ち合わせ時から仲良くしてくれたのでちょうど良かった。
「今回はヤケに張り切ってたな…アンコさん」
「ルーキーが揃うのは四年ぶりだからな…さきんとこも出てるよな?カカシ班のあの三人」
『うん。三人のことやから何とかこの森でもやって行けるとは思うけど…どうかな…結構ウズウズしてた変わった人もおったよね』
――― まさかそこまでやるとは考えにくいけど、万が一、命ごと巻物を奪う人がいたら…
(木の葉の里の忍はどちらかというと好戦的じゃないし、下忍が人を殺すなんてことは到底考えられにくいことだけど…)
「他里の忍は殺しに躊躇いのない奴もいるからな…」
まるでさきの心情をイズモが代弁するかのように続けた。
『そうよねきっと…』
心配そうに顎を引いたさきをコテツは、「まぁまぁ」と宥めた。
「そのための同意書でもあるけどな…とは言っても今までは運悪く命を落とす人はいたが、医療班も待機していることだし、余程のことがない限り大丈夫だろ」
『それもそうよね…ま、大丈夫かぁ…』
どちらにせよ、今は信じて待つしかないんだ。
さきたちは会話を交わしながら、試験会場から少しだけ離れた持ち場へと移動した。