第58章 好き
「そう……ですよね。やっぱり。 前回の任務で、お互い思いあってることは分かってましたよ」
上忍はニコリと微笑んだ。
『そっ!なっ!…え?!』
肯定もできず否定もできず、さきはタジタジと慌てふためいた。
他人から見ると、自分たちはそう見えるものなのか?
サクラちゃんもそんな事を言っていたけれど。
あの波の国の任務以来、カカシに対するこの気持ちが、悪いことではないのだと少しずつ自分を認められるようになって来ていたのは、ちゃんと分かっていた。
私はカカシのことを…
……カカシが、ちゃんと好きなんだ、と。
―――――― ただ、まだ言えないだけで…
やっぱりカカシには申し訳ない気持ちがある。
先日の夜だって、亡くした彼の夢を見て取り乱して迷惑をかけたばかりだ。
私がカカシなら、あんな時どんな気持ちでいるんだろう…やっぱり、嫌よな…って、どうしても悪い方にばかり考えてしまう。
なんて、それならキスなんてしないほうがいいのに矛盾しすぎにもほどがある。
(カカシに甘えすぎなのよ、私の馬鹿。)
『あ、あの…その辺にしてもらえると嬉しいです...』
さきは苦笑いを作り、その場をやりすごした。