第53章 月下美人 *
痺れるような快感に溺れていく、感覚。
首筋を伝う舌先に、酒とシャンプーと花の香り、吹きかかるカカシの息、少しだけ感じるカカシの体重。
心に残っている罪悪感の上から、快感の波が次々と押し寄せた。
服の上をそっと這っていた大きな手が、シャツの裾から侵入して、地肌と地肌が触れ合った。
『っ!』
ツー…と細長い指が脇腹を移動し、胸の膨らみに到達した。
さきは、カカシと初めて会った時から比べると随分とシンプルな物を身につけるようになっていた。
本当は、綺麗なレースも、キラキラしたビジューも大好きだけど、忍者とそれらはあまり相性がよくない。
機能性だけを求めた胸の動きを制限する地味な下着は、触れられるだけでも女としてはどうしても恥ずかしいと思ってしまう。
『ま、まって!その、今日全然可愛くない…から…』
見られたくない、と、ごにょごにょと語尾を濁しながら目を泳がせる。
片手でフニフニと下着越しに胸の柔らかさを楽しんでいたカカシの手は、そんなさきにもお構いなしに動き続けていた。
次第に円を描くように胸を揉みしだかれ、敏感な突起が下着に擦れる度にさきの口から甘い吐息が漏れ出した。
満足気に首元から顔を上げたカカシは薄っすらと笑みを浮かべて、
「ん、…なら見ない」
そう言って指先だけを下着の中へ差し入れた。