第47章 空白の時間
さきはカカシの傍に正座して、静かに眠る彼の顔をじっと見つめていた。
そしてカカシが黒いマスク越しに浅い寝息を立て始めたのを確認して、自身のすぐ隣に座っていたサスケへと顔を向け、問いかけた。
『…ねぇ、サスケくん?』
「なんだ?」
『私さ……あの時、何でみんなから離れて、水の上なんかにおったんかわかる?』
彼女はずっとそれが気になっていた。
何故あんな場所にいたのか。
そしてそこで何をしていたのか。
どうしてカカシに腕を抑えられていたのか…。
「…お前覚えていないのか?」
「えっ覚えてないの?さきさん」
サスケとサクラの驚きの声が重なった。
『うん…何故か途中から記憶がない。 ナルトくんとサスケくんが一緒に戦ってたところまでは多分見てた思う…でもその後からは…』
全く覚えてない。
こんなことは初めてで、自分で自分を信じられなかった。
一体自分の身に何がおこっていたのか。
「姉ちゃん、いきなりキレたんだってばよ。」
ナルトが、サスケとは逆に位置するさきの横に腰を下ろしてそう言った。
そしてう~んと顔をしかませて、オレも遠目だったからよくわかんねーとこもあるけど...と続ける。
そんな曖昧な彼の代わりに、あの時さきの一番近くにいたサクラが続けた。
「さきさんは突然、緑色の光を身体に纏って、物凄い勢いで再不斬に向かって行ったのよ。 ちょうどナルトが再不斬に向かってクナイを投げて、カカシ先生を閉じ込めていた水牢の術が解けた時だった。 さきさんは刀を抜いて、再不斬に斬りかかったの!」
「そう!そう!! んで、そん時オレってば、再不斬にあの手裏剣でやられそうになっちまってて…さきの姉ちゃんが助けてくれたんだってばよ」
『私が?』