第46章 敵現る
「ナルト…景気良く毒血を抜くのはいいが………それ以上は……出血多量で死ぬぞ♡」
カカシはニッコリと満面の笑顔でナルトに言ったが、一番近くで怪我に刃物を突き立てた瞬間を見ていたさきとしては、勢いよくドクドクと溢れ出し流れてゆくその血が本気と書いてマジの冷や汗ものだった。
『ナ、ナルトくんはやくそれ見せて! 何してんのよもう~…』
さきはジタバタと慌てふためく彼の手をパッととり、血を抑えようとその傷口を見た。
すると…
(…え…?傷口が…もう治りかけてる……)
彼女が特別上忍に任命されたあの日、さきはナルトの“中”にいる九尾の妖狐について火影様とカカシから詳しい話を聞いていた。
以前、カカシからナルトの話を聞いた時よりも随分と詳しく。
(……これが“九尾”の……)
さきは無言でクルクルと止血テープと包帯を彼の手に巻き付けていく。
手当を行っていた彼女が無意識のうちに難しい表情をしていたからか、ナルトは不安そうに自分は大丈夫なのかとさきと、その後ろからそれを見ていたカカシに尋ねた。
『ん? うん多分ね』
「ま、大丈夫だろ。」
二人にそう言われたため、彼はホッとした表情で大人しく手当を受けてくれた。
そしてその直ぐあとに、
「先生さんよ……ちょっと話したいことがある」
真剣な眼差しでカカシとさきを見つめながらタズナさんは“本当の”依頼内容を話し始めた。