第3章 Talking Night
(あーもう!まずいでしょ。ホントに…)
オレが貸した服がデカイのはわかる。
さきの寝相がよろしくないことも判明したが、それについては全く持って問題ない。
だが、そのせいで、彼女のみぞおち辺りまで服が捲り上がり、女性らしい白い肌がこれでもかと言う具合に見えている。
(…せめて向こうを向いてちょーだい)
僅かにカカシの心拍数が上がる。
彼も男なのだ。
見てはいけないのは分かっているが、見えたものからはなかなか目が離せない。
長らく女性を部屋に入れたこともなければ、身体を見るのも久しぶりだ。
『あれ………朝…?』
どうやら覚醒したようだ。
さきはぼーっとした顔で、そのままの体制で部屋をキョロキョロと見渡す。
その視線が自分と交わった時点でカカシはさきに声をかけた。
「おはよう。よく寝てたね」
『あ、ここカカシの部屋やっけね…おはよう…いい匂い』
部屋中に広がるドリップコーヒーの香りはさきにも好評なようで、ホッとした。
「顔洗ってくる? …ま、ひとまず、そのお腹をしまうとこから始めた方が良いだろうけどね」
『……へ?』
間抜けな声を出し、自身の身体を確認するさき。
途端にバッ!!!!!と大きな効果音がつく勢いで起き上り、それと同時に捲り上がった服をおろす。
『みみみみ、みせてんねんっ!』 と、ベッドから抜け出し、頬を少し赤らめながら洗面台に逃げるように駆け込んだ。
カカシはその様子にクツクツと喉を鳴らして笑った。
見せてくれてたのね。 なんなのそのボケ。
絶対嘘じゃない、あんなに焦っちゃって。
まぁなんて賑やかで明るい朝なんだ。
オレのいつもの音のない朝は、 今日から変わってしまったようだ。