第29章 Silver Fireworks
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『……カカシ』
三人の前から姿を消したカカシは、さきの潜んでいた木陰に静かに現れた。
「ふぅ…さて。アイツらどう動くかな…」
カカシはさきの隣に座り込む。
さきは彼の頬に手をあてて、『大丈夫?』と眉を顰め心配した。
それこそ、あの三人にはこの試験に合格してもらわなければ、カカシの傷に塩を揉みこむようなことと同じことだ。
それはさきにとっても辛い。
「大丈夫だよ。 そんな顔するな」
カカシは笑顔で答える。
さきはその笑顔が消えないよう、三人に祈る迄だ。
(お願いみんな…カカシを…)
さきは徐に立ち上がり、三人がいる丸太の方へ目を向けた。
するとそこには、あの不器用で他人に対して素直さに欠けるサスケが、自分の弁当をナルトへ差し出している姿があった。
『…えっ!サス……カカシっ見て…』
「ん?」
カカシはさきに促されるまま、木陰から少しだけ顔を出し、三人の方を見た。
そしてその光景がカカシのいつもどこか眠たそうな目に映った時、それが大きく瞠られた。