第27章 鈴取り演習 -2-
さきはサクラの動きを観察するために場所を移した。
先程いたところから数百メートル離れた森の中。
彼女はきょろきょろと辺りを確認しながら走り、時々ある人物の名前を呼んでいた。
「サスケくん…どこなの?」
『……え?何でカカシじゃなくてサスケくんを探してるの...?』
サクラはサスケのことを只管探していた。
もしかすると、自分がアカデミーへ戻ってしまうかもしれない重要な試験の真っ最中だというのに、鈴取りよりもサスケを選ぶ、恋に生きる乙女…
恋愛に身を投じるのはいいが...合格しなければという姿勢がこれっぽっちも見受けられない。
さきは、大丈夫かな…とある意味ナルト以上に心配になった。
(…まぁまだ10代最初のまだまだ子供の恋愛だしね…)
『…って、まだまだ忍駆け出しで、恋愛がわかんなくなってる私が偉そうに言えたもんじゃないか…』
と、そこへ
『...あ、カカシ』
カカシがさきとサクラのすぐ近くを通った。
サクラはカカシの姿を見つけ、すぐに隠れたようだが…隠れたはずのその彼女の背後にカカシが忍び寄った。
こうなるとちょっとしたホラーである。
彼女の周りを大量の木の葉が舞う。
サクラは周囲を再びキョロキョロと見渡した。
しかし、どこにもカカシの姿はない。
その時、サスケの声が聞こえてきた。
聞きなれた声の主を振り返ったサクラ。
しかしそんな彼女が見たものは…クナイや手裏剣が全身に刺さった、血まみれのサスケだった。
「あぎゃああああああああ!!!」
まるで断末魔の悲鳴のような声をあげ、サクラは気絶してしまった。
(趣味悪…サスケくんをあんな風に…ほんまにやめてよねカカシ)
「忍び戦術の心得その2、幻術……サクラの奴 簡単にひっかかっちゃってな……」
『はぁ、残るはサスケくんね。』
さきはまた、静かにその場から動いた。