第25章 自己紹介は「愛してる」
アカデミーの、とある教室の前。
『ねぇ……“黒板消し落としの術”が仕掛けられてるよカカシ』
「はぁ…何なのあれ?」
カカシとさきがアカデミーに着いた頃には、既に廊下はシンとしていて、他の子供たちや先生の姿は誰一人としてなかった。
勿論遅れた方が悪いのだが、下忍の子たちが待機しているはずの教室の入り口には、本当にしょうもないトラップが仕掛けられていた。
『どうせナルトくんあたりやろ? 私は離れて皆のこと見てるから……ほら、カカシ引っかかってあげれば? あの子達喜ぶよ多分…』
「えぇ~」と渋るカカシの背をぽんぽんと押して、さきは子供たちの期待通りの展開を演出するよう勧める。
さきはカカシから少し離れたところで様子を見るつもりだ。
『イタズラもチームワークってね…ほら、行って』
カカシはしぶしぶ「分かったよ」と言って、教室のドアへと向かっていった。
…ポフン と黒板消しがカカシの頭に落ちる。
カカシの白銀の髪や緑のベストはチョークの粉まみれだ。
「ぎゃははは!! 引っかかった!!引っかかった!!」
室内からはナルトの盛大な歓喜の声が響いてきた。
いたずらの犯人はナルト、保身に走るサクラ、全く関与しないサスケ……カカシはそんな三人を暫く見つめ、少しの間の後。
「んー…なんて言うのかな。 お前らの第一印象は……嫌いだ!!」
はっきり「嫌い」と言い切った。
そう言わないでよカカシ…と、さきは一人廊下でハハ…と苦笑いを浮かべながら、さっそく大変そうなカカシを心の中で応援していた。
カカシは三人を屋上へと連れ出す。
さきもその後をコソコソ追って着いて行った。