第23章 She turns him on...
カカシが家に戻ると、回復した様子のさきが薄明かりのリビングにいた。
『おかえり~…』
「ただいま。 まだ起きてたの?」
『うん。 勉強しながら待ってた~…』
顔を上げずに、こちらへの意識そこそこに語尾を伸ばして会話するさきが見つめていた机の上には、彼女の勉強用の手帳や巻物。
それを確認しつつ、ゆっくりと印を組む練習をしていた。
カカシは向かいの椅子に腰掛けて装備品を外しながら問いかける。
「何してるの?」
『新しい術の印の練習。 長くて手が縺れてうまく結べんのよね』
「また新術作ったの?」
『そ。これは広範囲攻撃用の術。 ずっと考えててね、まだ完成してないけど』
手を止めニッとさきは笑う。
彼女は彼女なりに中忍試験の準備を進めているのだろう。
現時点での実力でも十分通用する筈なのに、火遁においては既存の術を習得するに加えてオリジナルの術の開発を進んで行っている。
しかし、中忍試験は命懸けの試合も行われる…そのため早め早めの対策は間違いなく自分の身にもなるのだ。
『ただもっともっと修行しなきゃ、チャクラ量もスタミナも足りんくて…こんな技使うとすぐバテちゃう』
「本当に熱心だな。 明日から受け持つ子達にも見習って貰いたいもんだよ」
『…護りたいものがあれば、幾らでも努力するし強くなれるよ。 それを子供たちにも教えてあげれたらいいよね。 私にはカカシを護るっていう目的があって、それが自分の為にもなってるだけ。 私の潜在的な力なんて、大したことないよ。』
「…ふ お前よくそんな恥ずかしいこと面と向かって言えるね」
『え、おかしい?』
「いや、それがオレの好きなお前だよ」
『そっちの方が恥ずかしいんやけど』と、クスクス笑うさきに当たり前のような顔をして、カカシは「そろそろ寝るか」と声をかけた。
二人は揃ってベッドに寝転ぶ。
「そうそう ナルトもアカデミー卒業が決まったよ。 さっきの事件も解決した。」
『え!凄い! 良かったぁ~嬉しい。 いい忍者になれるといいね~ナルトくん』
「ま、アイツの成長は確かに楽しみだな。 …でも、さっきのオレのお楽しみ時間分くらいにはなってもらわないと、納得出来ないかな」
『馬鹿! もう寝るよっ!』
「クク 冗談だよ。 おやすみ」