第22章 卒業試験
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寒くて長い冬が去りつつあり、梅の花が良い香りを漂わせている今日の頃...カカシは火影様より、三度目の下忍の担当上忍を任命された。
この三月にアカデミーを卒業する忍びの卵たちの上司...つまり、先生だ。
カカシとさきは夕飯を食べながら近況を報告し合っていた。
「今年もきたなぁ......担当上忍。」
『あぁ、卒業生のね? カカシは毎年合格者がゼロって聞いたけど...』
「ん、まぁね。 どいつもこいつも、忍にさせる訳にはいかない奴らばかりでね」
『そう... チームワークを見極めてるんやね?』
「あぁ。 忍にとって一番大切なものを理解させてやりたいんだよ。 昔のオレのような忍を生み出さないように。」
『なるほどね... どんな試験?』
「スリーマンセルに対し、2つの鈴を取らせる... わざと仲間割れをするようにしているんだ。 バカ正直にオレのルールや命令に従い、裏の裏を掻く子もいなかった...」
さきは黙ってカカシの話を聞く。
彼にとってもこの試験はとても大切なことで、カカシが過去に学んだ教訓であり、何より罪の意識がそこにあると分かっているからだ。
「......何度も悩んだんだ。 この試験で本当にいいのか...... オレはきっと非情で残酷な先生に思われたよ。 けど......」
カカシは照れたように、そして嬉しそうに微笑んで続けた。
「以前アカデミーに返した子達が、オレに礼を伝えに来たんだよ。 彼らはチームワークの意味を理解していた。 それがオレの自信に繋がったんだ...... この試験は間違っていないってね。」
『そう...それは嬉しいね。よかったねカカシ。』
カカシの抱えているものはとても大きくて重たいものだから、時間にすればほんの一瞬の教え子だったとしても、その子達にカカシの思いが伝わったということは、カカシをほんの少しだけでも救うことになる。
さきはそれがとても嬉しかった。
彼女もカカシにつられて自然と明るい笑顔になる。
(そういえば、サスケくんもこの三月で卒業になるのか...)
一体どうなることやら。
もし万が一サスケくんがカカシの試験を受けるとなると、...かなり合格は厳しいかもしれない...。