第18章 お揃いデート
と、そこに「コラーーーー!!」と遠くから大きな怒鳴り声が聞こえてきた。
『えっ、なにっ?』
その声は二つの足音とともにこちらの方へ近付いてくる。
「へーんっ! いたずらされる方がわるいってばよーーー!!」
「待てえぇ!ナルトーーーー!!!」
こちらに駆けてきたのは、「ナルト」とカカシばりに変わった名前を呼ばれる少年と、それを追い掛けるポニーテールの若い男性。
『...なに、追いかけっこ?』
「大方ナルトがまた悪さして、イルカ先生がそれを追ってるんだろう」
『ナルト?イルカ? 二人ともカカシの知り合い?』
「まぁね......あのナルトって子は、この里ではちょっとした有名人なんだよ。 あんまり良い意味ではないけどね...」
『...そうなん?』
「あぁ。 でもま、イルカ先生も色々吹っ切れたみたいだね。 ナルトも先生も生き生きしてるよ。」
『...うーん......』
「あの子はね.........」
バタバタとカカシとさきの二人の目の前を猛ダッシュして行った彼らを横目に、カカシはナルトという少年の話を始めた。
里を救うため、九尾の妖狐が封印された男の子。
それなのに、“この里の嫌われ者”。
それは可哀想な話だが、サスケを含め、あの歳でも一人で生きている子供がたくさんいるという事実に、さきは驚くとともに、少し自分が情けなくも感じた。
...強いな...と思った。
それにしても、なんと明るい笑顔なこと。
叱られて追いかけられているにも関わらず、彼は太陽のようなとても印象的な笑顔を顔いっぱいに浮かべていた。
(イルカ先生って人が、良い指導者なのかな...)
『そう......ナルトくんって、サスケくんの知り合いかなぁ』
「サスケ?」
『そ。 うちはサスケくん。 私の初任務でね、あの子のお世話係をしたの。もーほんっとに可愛くてね...私の弟みたいに思ってる』
「へぇ...あのうちはのね...... ま!お前に懐いたってことは、それなりにちゃんとしてるのね」
『いーや、めちゃくちゃ問題児。 腹立つよ~? でも、すっごく可愛い』
「そうか」
どんどんさきも、この里に馴染んできて、知り合いも増えているんだな...とカカシは微笑んだ。